
上高地

上高地

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上高地
八幡平の高さから、さらにその先へ
上高地から戻り、写真を見返していた。山が大きい。きれいだし、迫力もある。けれど、写真だけでは、その大きさがどうにも実感できない。そこで、岩手に住む自分の感覚で測ってみることにした。
盛岡の標高は約120メートル。国道4号を北へ走った奥中山の十三本木峠でも約458メートル。それに対して松本は約592メートル。そして河童橋付近は約1,500メートル。岩手でいえば、八幡平の山頂付近とほぼ同じ高さになる。河童橋には川が流れ、木々があり、人が歩いている。山頂とは思えない穏やかな風景だ。ところが、そこから見上げる奥穂高岳は3,190メートル。河童橋との標高差は約1,690メートルある。八幡平の山頂とほぼ同じ高さに立ちながら、その頭上には、さらに1,700メートル近い山がそびえている。
そう考えると、上高地で見た景色の意味が少し変わってくる。私は山を見に行ったつもりだった。けれど、実際には違ったのかもしれない。山を見たのではなく、山の中に入っていた。しかも、そこからさらに1,690メートル上を見上げていた。
写真を撮ったときには、ただ美しいと思っていた。帰ってから数字を重ねてみて、初めて分かった。
あの場所は、山を見る場所ではなかった。
すでに、山の中だった。

